オーストラリア生活

洪水エリアを避けよう オーストラリアで家を買うなら

こんにちは、すしです。今日はオーストラリアで家を買うときに気をつけることの一つ、洪水のリスクと避ける方法について書いてみたいと思います。

オーストラリアと洪水

この記事を読まれている方の中には、つい先日の関東地方の洪水、武蔵小杉のマンションの浸水などは記憶に新しいのではないでしょうか。

オーストラリアでは過去にどの都市でも小さくない被害を与えた洪水がありました。大きな河のあるところに植民をして街を作っていったので、当たり前といえば当たり前なのですが、温暖な気候でサイクロンなどが頻繁に発生するQLD州では特に大雨による大規模な洪水が定期的に起こっています。

QLD州の中でも特にひどいのは、街が大きく、人も多いブリスベンです。1893年(被害AU$4million)1974年(被害AU$980million)、2011年(被害AU$10billionクイーンズランド州全体で)に大きな洪水が起こりました。
2011年にいたっては、なんとQLD州の4分の3がhazard areaに指定されたほどでした。
シドニーでは1910年から現在までに35回の洪水を記録しています。洪水がいかに身近に起こりうるものなのかがイメージできるのではないでしょうか。

Flooding mapを活用しよう

さて、それでは本題のどうやって洪水エリアを避けるかということですが、それぞれのカウンシルのflooding mapを活用します。

例にブリスベンカウンシルを見てみましょう。こちらのカウンシルのページに住所を入力するとそのエリアのマップの洪水になる可能性が色分けされた地図が見られます。(下図はブリスベンカウンシル、 CBDから約5kmのNorman Parkのあたりです)

色の濃い青のエリアは毎年5%の確率で洪水になると予想されています。ちなみに5%のエリアは他の地域よりも低い位置にあるので、1%の確率のエリアも洪水になるときにはより高い位置まで浸水してくるということになります。

家選びには、上記の色のついていないエリアから物件を選ぶことをオススメします。

さらに、こちらのカウンシルのページからさらに細かな情報が得られます。その物件の土地の1番低い、高い位置、そしてそれがどの状況の時に影響をうけるのかがわかります。

(例として26 Waite Street Norman Park)上のマップの1番濃い青のエリアの中の物件を例に見てみましょう。その土地の1番低い場所が海抜2.3Mで、毎年20%の確率で50cm浸水すると計算されています。もしも家の前の道がさらに低い位置にある場合、さらに早い段階で車で出入りすることはできなくなるということです。

こういう物件は言うまでもなく避けたほうが良いでしょう。

資産価値の面でも避けるべき

下の図は上記Norman Parkのエリアが過去に物件がいくらで売れたかを記したものです。(realestate.comより)

洪水リスクの高いエリアでも家があり、売れています。ですが、同じストリートでも、東に少しいったエリアの家の価格が高いことがわかると思います。要因は洪水エリアということだけではないかもしれませんが、長期的にみて、洪水の影響を受けるエリアと受けないエリアでは、間違いなく評価額に差がでます。

長期での資産的な価値から見ても洪水エリアは避けるべきだと考えます。

実際に洪水になるとどうなるのか

実は現在QLD州のタウンズビルという街に住んでいるのですが、2019年2月に歴史的な大雨が降り、大規模な洪水に見舞われました。

(Townsville flooding map 2019)

幸いなことにぼくたち夫婦は洪水エリアからギリギリはずれた位置にいたので床上浸水は免れました。

ですが、洪水のエリアにユニットを借りて住んでいた友人夫婦は、緊急放水したダムの水と、処理しきれない下水のまざった水が家の中、腰の位置まで浸水してきました。

車、購入したばかりの家電やソファに始まり、住む家を失って途方に暮れていました。たくさんの人が家を失ったため、レントは高騰し、住みたい家には住めないうえに高い家賃を払わざるを得ず、失った車、家電、家具などは買い替えとなりました。

かなり厳しい的な状況です。ですがレントだったのでまだましだったともいえます。

持ち家(ローン支払い中ならなおさら)で洪水に見舞われた人たちはさらに悲惨です。

上記の物の買い替えに加え、新たに借りる家の家賃、そして自分の家の住宅ローンの支払いが加わります。手持ちの現金や収支に余裕のない人たちには絶望的な状況だということは容易に想像がつきます。

そしてなにより、家を売りたいと思ってもこの状態では売りに出せません。家や車などからは雑菌が繁殖するためカビがはえ、独特のいやな匂いがします。掃除をしてもなかなか消えません。洪水の影響を受ける物件だということは明らかなので、買い手はなかなか現れないでしょう。売れたとしてもかなり買い叩かれるのではないでしょうか。

洪水発生から10ヶ月たった現在でも、未だに修理が完了せず自分の家に帰れない人達は多くいます。 きっとまだしばらくこの状況は続くでしょう。

投資物件の場合も、物件自体の修繕費はもちろん、修理完了までのレントのロス、物件自体の評価額も影響を受けるでしょう。もちろん保険でカバーされる分もあるでしょうが、わざわざそのリスクをとる必要はまったくないと思います。

まとめ

上記の洪水のリスクに関する情報は知ってさえいれば、そういったエリアは避けられます(それでも100%だとはいえませんが)。ですが、実際これだけの情報を無料で手に入れるとこができるにも関わらず、知らない人の方が多いのではないかと思います。僕も家を探し始めた頃は知りませんでした。

それは、そもそもリスクについて知らない、考えたこともない人たち、リスクについて知っていても楽観的な見通しをしている人たちに加え、リスクについて全員が知ると、困る人たちがたくさんいるからだとも言えます。

タウンズビルで今回大規模に浸水したエリアの中には、大々的に広告を出してつい最近開発された(むしろまだまだ開発中の)新しいエリアもがっつり含まれていました。洪水のリスクがある程度あるエリアということをわかっていながら開発していたのです。その開発に関わる人たちは、リスクについて購入者には知って欲しいとは思っていないでしょう。

同じく上記のエリアで浸水して半年以上閉まっていたショッピングセンターは、先日拡張して再オープンしました。その洪水被害のあった新開発中のエリアの住宅の開発は今も続いています。次回同じ規模の洪水があれば再び大きな被害がでるとわかっていながらも、もはや戻れないのでしょう。

先日チェックしていたブリスベンの新開発エリアは、毎年1%の確率で洪水に見舞われるところでした。それでもカウンシルは家を建てる許可を出すということです。(そうでないと使えない土地がたくさんあるからではないかと思います)

リスクに対して考え方は人それぞれですが、実際に洪水被害を目の当たりにした僕は、極力洪水のリスクは避けることをオススメしたいと思います。

あわせて読みたい記事
ABOUT ME
すしかな夫婦
すし(夫)とかな(妻)の日本人夫婦。2013年、ワーキングホリデーで渡豪。学生を経て、2019年に夫婦で永住権を取得。愛犬ココとクイーンズランド州の田舎で生活中。
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。