こんにちは、すしです。前回オーストラリアで家を買いたいと思った時に最初にすることを書きました。
それらを踏まえたうえで、今回は各都市を比較、そしてそれってどういうことなのかについて考えてみたいと思います。
各都市の家の価格
さて、都市選びです。下は、2019年1月のオーストラリアの各都市の家の平均価格(一軒家、集合住宅含む)を高い順に並べたものです(参照都市別家平均価格)
Sydney $840,000
Melbourne $665,000
Canberra $591,000
Brisbane $490,000
Perth $475,000
Darwin $450,000
Adelaide $438,000
Hobart $420,000
やはりシドニー、メルボルンの2大都市や首都のキャンベラは値段が高いです。第3の都市ブリスベンがかなり遅れて追いかけて、その後をマイニングの都市パースとダーウィンと続いています。
付け加えると、この数字は平均価格なので、人気のエリアや中心部のそばはさらに高いということです。そして、中心部に近づけば近づくほど地価が高くなり、家は小さくなります。
逆にそれぞれの都市では外側(郊外)に向かって新しい土地を整備して、家がどんどんと建っています。そういった新興エリアでは比較的安く少し大きめの家が買えます。
ちなみに目安として例を挙げてみると、$800,000のローンを3%、30年で組んだ場合、月々の支払額は$3,373になります。
$400,000のローンを3%、30年で組んだ場合、月々の支払額は$1,686です。
銀行の利子は変動します。現在のオーストラリア中央銀行(The Reserve Bank of Australia)のホームローン利子は歴史的な低さと言われています。
今から29年前の1990年にはなんと年利17.0%を記録しています。17.0%になった場合、$800,000のローンに対する月々の支払いは$11,405です。想像を絶する返済額です。たった10年前の2009年ですら9.3%の高さでした。($800,000では月々$6,610)
日本ではバブルの頃に8%を超える住宅ローン金利の時期がありました。ですが、バブル崩壊後は一貫して超低金利の住宅ローンですので、3%と聞いて高い!と思うかもしれませんが、オーストラリアの歴史から見ると、今後上がることは十分に起こりうることです。
利子は変動するということをしっかり考えたうえで余裕をもってローンを組むことをお勧めします(^.^)
平均価格と平均年収の関係
次に、家の平均価格(一軒家、集合住宅含む)、平均収入(州の平均)、その比率(年収÷家価格)という指標で見てみましょう。(参照州ごと平均年収)
比率(Home affordability)の良い順に並べてみました。
都市 家平均価格 平均年収 比率
Darwin $450,000 $86,762 19.3%
Perth $475,000 $90,496 19.1%
Adelaide $438,000 $75,369 17.2%
Hobart $420,000 $71,718 17.0%
Brisbane $490,000 $80,304 16.3%
Canberra $591,000 $94,224 15.9%
Melbourne$665,000 $80,610 12.1%
Sydney $840,000 $83,517 9.9%
これで何がわかるかというと、シドニー、メルボルン、キャンベラの家の平均価格が他の都市に比べて高いにも関わらず、その地域の平均年収が必ずしも比例しないことです。つまり、家の価格の高いエリアに住んだからといって、年収が飛躍的に上がることはないということです。
ざっくり言ってしまえば、シドニーに住む人たちはダーウィンに住む人たちに比べて、家を買うのが2倍大変だということです。日本でももちろん同じような現象はありますが、とんでもない格差ですね。
もちろん、金融、ITや、世界的企業のオーストラリア本社はシドニー、メルボルンに集中しています。そういった業種、職種の人たちは高い給与をもらうでしょう。キャンベラには政府関係の仕事が多くあるので、パースやダーウィンはマイニング関係の仕事に従事する人が多いので平均年収が高めです。
ですが、それ以外の業種についているその他大勢の人たちにとっては、シドニーなどの家の価格が高い地域に住むということは、単純に収入に対する居住費の割合が増すということです。
逆に言えば、家の価格が安い地域に行けば、同じ仕事をして同じ給料をもらいながら相対的に居住費の割合が下がり、生活に余裕がでるということです。
シミュレーション
これを、そういうものだよね。と流しても構わないのですが、僕はとても大きなことだと考えます。なので、世帯収入が税引き後で$100,000のケースで試算してみたいと思います。
$800,000のローンを5%の金利で借りた場合、年間の支払いは$51,528になります。収入の51%を居住費が占めます。そもそもこんなローン組みませんよね。
$600,000のローンを5%の金利で借りた場合、年間の支払いは$38,651になります。収入の39%を居住費が占めます。まだ高すぎます。でも、このくらいだといっぱいいっぱいでローンを組めるかもしれません。ただし、ハイリスクなうえ返済は相当きついです。超節約生活です。
$500,000のローンを5%の金利で借りた場合、年間の支払いは$32,209になります。メルボルンだと1時間ほどはなれた郊外にタウンハウスや1戸建てを狙える価格です。収入の32%を居住費が占めます。このくらいから現実的になってくるのではないでしょうか。
$400,000のローンを5%の金利で借りた場合、年間の支払いは$25,767になります。収入の26%を居住費が占めます。このくらいなら返済していけそうです。
$300,000のローンを5%の金利で借りた場合、年間の支払いは$19.326になります。収入の19%を居住費が占めます。これなら余裕をもって返済していけそうです。
(ローンのシミュレーションはこちらのサイトで簡単にできます。)
多少は予算のイメージがついたでしょうか?これらを目安にして、さらに各家庭の家族構成や支出の状況を加えていくと、実際にいくらの物件が望ましいのかがイメージできます。
ありがちなのが、今の金利で支払えそうだから、今は共働きだからと目いっぱいローンを組んでしまうことです。以前メルボルンに住んでいた時に、住みたいと思う物件を探すと、どうしても高くなってしまって、いくらまでならローンを組めるかという考え方で物件を見たりしていました。かなり危険な考え方をしていたなと今となっては思います。
重要なのは、自分たちのライフステージの変化による収入や支出の変化や、利子の変動リスクを考え、余裕をもったローンを組むことです。
まとめ
それらを検討した時に果たして自分の望む生活、家はどんなものなのか、そして、それはいったいどの地域なら実現可能なのかを見ていく必要があります。
極端な例を挙げると、シドニーの中心部では日本の1ルームのようなスタジオと呼ばれる部屋(25M2)が、ブリスベンでは中心地から車で20分以内のエリアで3ベッドルームの家が、クイーンズランド州の田舎町タウンズビルでは海まで徒歩でいける築浅の4ベッドルーム(600M2)の一戸建てが、それぞれ$400,000で購入できます。
資産としての考え方は別の記事に書こうと思いますが、どれがいいか悪いかでなく、それだけの広い選択肢があるのを知ること、その上で自分に合った予算、立地、家の大きさを選ぶことが重要です。
家の購入は快適な生活をするための手段だという話を前回書きました。自分の望む生活をするにはどんなタイプの物件なのか。いくらまで居住費に使うのか。そういった目線をもつことも必要なのではないかと思います。
個人的にはもし自宅を購入するならローンに圧迫される生活はいやなのと、旅行などもできる余裕のある生活をしたいのと、繰り上げ返済をして利子をなるべく少なく返済を終了させたいので、場所や家のクオリティは多少妥協して余裕のあるローンを組むと思います。
家族がいたり、友達がいたり、仕事があったりと、お金がかかったりと、引越をしたくない理由はたくさん挙げられます。すでに快適な環境にいるのであればもちろんそれもいいと思います。
ですが、これから数十年かけて収入の多くの割合を費やすものです。実際に購入を検討するときには、上記の事も踏まえて検討されてはいかがでしょうか。
※これはあくまでも個人的な試算、考え方です。購入の際にはプロの方にアドバイスを受ける事をお勧めします(^.^)